一言でいえば、すでに設置されている設備の保全です。設備が壊れた、調子が悪いという情報が入ればすぐさま駆けつけて修理や改修にあたります。電気系統の場合が多いのですが、部品を交換したり、分解したりして対応するもので、いわば「受け身の保全」です。一方、「攻めの保全」というものもあって、これが「計画保全」。定期的な点検で故障になりそうなところを事前につぶしておく保全のことです。さらに「改良保全」というものもあって、これは設備が悪くなる前に改良を加えることで、故障を防ぐだけでなく機械の寿命も延ばそうというもの。こうした複数の保全業務を通じて製造に不可欠な設備を正常に維持する、人間で言えば「健康」に保っていくわけです。

改良保全の例を一つ挙げれば、円筒研削盤に付けるローダ装置があります。以前は定期的にユニットを交換する必要があって、かなりの時間と費用がかかっていたのですが、保全グループでローダ装置を改良し、ユニット交換をしなくていいようにしたところ、交換費用の約100万円を削減することができました。逆に言えば、私たちの改良保全によって100万円分の利益を上げたのと同じになるわけです。修理の合間を見て2年かけて改良を続けたわけですが、完成したときは本当に苦労が報われる思いがしました。それは、ドクターが病院に来る必要のない体になった患者さんの姿を見るのと同じ気持ちだろうと思います。